« 愛国・憂国 | トップページ | PSE雑感 »

三つ子の魂

本棚の隅から「アイソトープセンター利用の手引き」なる小冊子が出てきて、学生時代を懐かしく思い出しました。アイソトープセンターとは放射性同位体の実験施設でして、放射性の同位体を扱うときは基本的に、この施設内で行います。

初めての放射線実験の指導の先生は非常に被曝にうるさくて、「目標0被曝」であるように感じました。コンクリの壁に線量計を向け「ほら放射線など普通にあるんだ」とおっしゃる他の諸先生方からは「あんな風にしていたら実験にならない」などと云われていたように記憶しています。

放射線を扱う実験をするには講習を受けなければならないのですが、そのときの講師の先生は楽観的な先生と、悲観的な先生の丁度中間位で、抛っておくと無謀なことをするであろう少年たちを半分脅す感じもありました。今でも覚えているのは腕時計の夜光塗料で工場の作業者が被曝をした話で、塗料を塗る筆を舐めて穂先を整えた為に体内被曝となった由。「鉛筆を舐める癖がある人は直してから来てください」というのが印象的でした。

今から思うに、自分が選んだ道で、自分が被曝する分には(無意味な被曝を避けるのは勿論ですが)少量の被曝はしても良いかと思いますので、楽観的な先生の立場を支持しますが、他人を被曝させる場合には、やはり「被曝0」が正しいか、と、悲観的な先生を支持します。このようにタイプの異なる先生に指導されることは稀でしょうから、両方の先生方にお会いできたことはやはり幸運であったかと思います。

さて、きちんとした施設で作業をする場合には線量計やフィルムバッチも付けていますし、間違って放射線を浴びすぎても、どの程度被曝したのかはほぼ間違いなく分かりますから、徒に畏れる必要もないわけです。ところが一般公衆ではフィルムバッチなど付けていませんから、いざ近隣の原子力施設で事故でもあれば自分がどのくらいの線量を浴びたのかすら分からないのですから、不安になるなという方が無理な話です。安心の為にはいろいろな建物を建てるより、ペン型の線量計でも配った方が良いのではないか、と思います。(日常的に付けたいと思う人は稀だと思いますが。)

放射線実験の施設を出る際には確か、手足やお尻(座ったりすると放射性物質が付く)に線量計を当て、放射線が検出されたら検出されなくなるまで手洗いを繰り返したように思います。「キレートの風呂に入れるぞ。脂なんか全部落ちるぞ。衣服は全部廃棄処分。」と脅されたことも、今となっては懐かしい思い出ですが、あらためて「手引き」を見ると、年間取扱量(まだキュリーで書かれています)は六ヶ所村の再処理工場の管理放出量と比べれば桁違いに小さく、あれほど外部に漏れないように気をつけていたものよりも大量の放射性物質をばら撒くと思うと、やはり、賛成するわけにはいかないなぁ、

と、あらためて思いました。

|

« 愛国・憂国 | トップページ | PSE雑感 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/48778/9216444

この記事へのトラックバック一覧です: 三つ子の魂:

« 愛国・憂国 | トップページ | PSE雑感 »