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極小被曝による被害

9/30には、JCO臨界被曝事故7周年の集会に参加したのですが

極めて小さな被曝量なのに人的被害が発生した場合の対処について書いてみます。もちろん、いろいろな人の影響があるのですが、中でも大きいのは中谷宇吉郎先生の「科学の方法」岩波新書(1958)でしょうか。

前提

1. 急性放射線障害には閾値がある。

確率的影響と異なり、急性放射線障害にはこれ以下では害が無いという閾値があることが知られています。これは正しいとします。ある日ある時あるところで、以下の事例が観測されました。

観測されたこと

1. 過去の観測によって決められた閾値を下回る被曝量で急性障害が観測されました

さて、この観測されたことに対して、次のような反応が考えられると思います。

  1. 閾値の適用方法が間違っている
    既存の閾値は過去の例によって算出されています。統計処理によって、ほぼ全ての人をカバーするように算定されているはずです。99.99%の人はその閾値以下なら大丈夫だとしても、残りの0.01%の人は大丈夫ではない、という事は十分考えられます。「絶対大丈夫」などという閾値は元が統計量である以上考え辛いと思います。
  2. 被曝量の算定が間違っている
    被曝した人が職業人では無い場合、線量計を付けていた筈もなく、被曝量は計算値であり、当然誤差があります。例えば煙突から細く長くたなびく煙の様に放射性物質が放出された場合、濃い部分にたまたま当たった場合と外れた場合では被曝量は大きく異なります。
  3. 被曝した人が弱かった
    ICRPの1990年勧告などにも記されていますが、被曝する人は勿論一様ではなく、場合によっては具合が悪くなる直前の人もいます。全く健康である人であれば問題ない線量であっても、具合が悪くなる直前の人の具合を悪くすることは出来るかも知れません。
  4. 閾値の算定が間違っている
    閾値の算定に使用されたデータは、主に広島・長崎の原爆による被爆だそうですが、爆風、熱線等、放射線以外の影響もありますし、戦後の混乱期でもあり、社会的要素の影響もあるでしょう。そのようなノイズの中から拾い出した値ですから、(研究者の努力は尊敬に値しますし、既存の閾値に価値があることは疑いようも無いですが)相応の誤差を持っているはずです。新しい観測例により既存の値が書き換えられるのは科学の常です。
  5. 放射線以外の原因
    例えばJCO臨界事故の様な状況では、普段と異なり緊急車両や航空機は行き交い、自身の行動は制限され、情報は届かない、という状況では、具合が悪くなるな、という方が無理でしょう。

と、いったような事が考えられると思います。(失礼があれば申し訳ありません、と、云う他はありません。)

ところが、JCO臨界事故の民事訴訟では、JCO弁護側は被害者に対して「詐病」、などと「人でなし」な事を云うそうです。いやいや、それは、商売だから、そういうのでしょうが、弁護士というのも因果な商売、とつくづく思います。

医師の診断書もあるのですから、余程の事が無い限り、被害は認められるべきでは無いでしょうか。裁判で問題なのはそれが誰の責任で、どの程度の罪であるのか、という事だと思います。

9/30には東京で槌田敦先生の講演がありましたが、先生によれば、ヨウ素の131以外の同位体の影響の考慮が今までの報告では足りない。との事。

なるほど、原子炉で云えば初回の燃料で運転を開始した直後にしかない同位体構成の筈ですから、見落とさないようにしないといけないようです。

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