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やられたらやり返す?II

「やられたらやり返す」

という首相の主張が最大限問題になるのは、やはり「日本は唯一の被爆国である」という日本国の主張と組になったときだと思います。

普通は、「日本は唯一の被爆国だから、核廃絶を願います」となるところですが、「やられたらやり返す」というノリと結びつくと、「核武装してやろうじゃぁないか」となります。

プルトニウムと言う物質は長崎型原爆の主材料であることが知られていますが、同位体の比率で核兵器に向いたものと向かないものとがあり、核兵器に向くプルトニウムを「兵器級プルトニウム」と呼びます。

日本には兵器級プルトニウムが大量に存在しますので、「やられたらやり返す」という発想の人物を首相にすえるのは、実にいただけない状況だと思います。

思い返せば日本で兵器級プルトニウムの製造が問題になったのは、戦後の話に限れば、まず最初の発電炉である東海原発が兵器級プルトニウムの生産に適した黒鉛炉だったことでしょう。アメリカは日本に軽水炉を輸出し、黒鉛炉路線をつぶします。日本はそれに対して「核燃料サイクル」という形で答えます。

「核燃料サイクル」の根幹をなす高速増殖炉は黒鉛炉よりも更に兵器級プルトニウムの生産に適した炉です。

高速増殖炉の実験炉「常陽」は米国がカーター政権の時に兵器級プルトニウムが生産できないように改造されます。これは当然米国の意向を受けてのことだと思います。

その後米国の軍事大国化と日本との同盟強化、日本の武装強化への道程で日本はまた兵器級プルトニウムの生産能力を身につけます。高速増殖炉「もんじゅ」です。

この「もんじゅ」は1995年に試験運転中にナトリウム漏れ事故を起こしてからずっと止まっていますが、設計から稼動まで時間が掛かりすぎて、次の炉の設計はすでに「もんじゅ」とはかなり違った形式になっており、稼動してもそれほど価値があるものではありません。排気ダクトに穴があくくらい老朽化していますし、ナトリウム漏れ検出器の設計ミスなどもあります。また、直下に活断層があることが分かっています。

それでも無理やりでも再稼動しようと計画してきたのは、やはり核武装のオプションのためでは無いか、と見られても仕方が無いでしょう。(今年の正月、更に再稼動が延期されました)

ともあれ、日本の原子力政策が「核燃料サイクル」を基本とする限り、発電の開発と兵器の開発は表裏一体に進む事になります。

「やられたらやり返す」という発想の首相の下では、とても怖くて賛成できるものではありません。

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