放射冷却と放射能の被害
1960年に日本原子力産業会議が作成した「大型原子炉の事故の理論的可能性及び公衆損害額に関する試算」では原子炉事故時の被害は気象条件によって大きく左右されるということが示されています。
雨の影響はテレビの解説者も解説していますが、気温が地面から上空に向かって下がっている場合と上がっている場合でも大きく異なります。
以下、引用。
逓減時には放射性煙霧は上下方向によく稀釈されるので、一般に地上における人的損害は少ないが、逆転時はその逆で、とくに低温放出のときは人的損害は大きなものになりうる。しかし物的損害は地表面の沈着量からきまつてくるので、様子が大分変り逓減時の方がかえつて大きな被害を生ずる場合がある。
逓減時というのは、地面の方が上空より温度が高い場合、逆転時は上空の温度の方が高い場合です。
晴天時には、地面が太陽により温められ、逓減になります。すると上昇気流が発生して放射性物質が拡散されるわけです。逆転時には対流が起きないので、放射性物質は薄まらずに遠くまで到達できます。
逆転時というのは、例えば、放射冷却の起きている、晴天時の夜です。
月夜の晩は出歩かない方が賢明でしょう。
逓減時は放射性物質が対流でかき回されて薄くなりますので、人が死んだりする危険は減りますが、広く薄くばらまかれるため、耕作不適地や、居住不適地の面積が増え、物的損害は大きくなると思われます。
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