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ICRPにおける、低線量被ばくのしきい値の扱い

低線量被ばくに対してICRPがなぜ「しきい値」を設定しないか、といえば三つの柱があると思います。

1. しきい値が無いと仮定することが「科学的にもっともらしい」から (64)
2. 内部被ばくと外部被ばくを統合的に扱うため(B.3.3.)
3. 予防原則のため (36)

1.は日本ではあまり言われません。生物学的な証拠はあるのですが、生きている人間の統計では証明できないんですね。(A180)

ギリギリ、100mSvあたりでは証明可能なんですが、この100mSvが年あたりの数値であれば、「十分低線量率」と考えられます。どういうことかというと、一つの細胞に同時に作用する放射線の数が一本以下ということです。

一度に細胞に作用する線が1本以下ということは、それ以下の線量でも現象は変わらないだろう、と、容易に予想ができます。しかもこのような低線量率では統計的には予想と異なる結果が出ないことも容易に想像ができます。(A89)

バイスタンダー効果の程度によれば、低線量率での危険性が変わるかもしれません。(A89)

2. は、ICRPは、内部被ばくと外部被ばくを加算可能とするためにLNTモデルを使用しています。LNTというのは「線形」「しきい値なし」ですね。これは被ばくが均一でない場合に平均値で評価して良いか否か、という問題です。

もしも、「しきい値」があると仮定すると、内部被ばくでは放射線源の近傍では「しきい値」を越えてしまうおそれが高く、内部被ばくと外部被ばくを別々に計算する必要が出てくるでしょう。

もしも、「しきい値」があるならば、内部被ばくがある場合に、外部被ばくによる被害から外挿されたICRPの計算値は過小評価になるかもしれません。


3. に関しては、被害が出てからでは遅い、という感じです。


ICRPの勧告書を見ると、基準を厳しくしようとする勢力と、緩くしようとする勢力が押し合いへし合いしながら、現在の基準が決まっているという雰囲気があります。

1000人に1人のがん死増加というのは統計的に出すことが難しいのですが、原発事故で、1億人に対してそのような被ばくをさせると仮定すると、10万人の死亡原因が原発事故ということになりますから、放射性物質を大量に撒き散らす原発事故というのは大変なことです。

本当は化学物質でも類似の現象があると思うのですが、放射性物質に比べると計測が困難なのでなかなか難しいですね

カッコの中はICRPの2007年勧告中の参照個所です。私の勘違いなどあれば御指摘ください。

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